こんにちは。
情緒的で華やかな行事「七夕」。短冊に願い事を書くのは、大人になってもじつは楽しいイベントです。さて、意外なことに七夕と仏教には接点がありました。今回は七夕の由来についてご紹介します。
日本古来の行事と仏教行事との融合
もともと日本古来より、棚機(たなばた)という、農業の豊作を祈る行事がありました。棚機は毎年稲の開花時期に合わせて着物を織って禊をするものでした。
そして6世紀、日本に仏教が伝えられた事により、棚機はお盆を迎える準備の行事となり、旧暦の7月に行われる事になりました。
中国文化との融合
さらに奈良時代、中国から「乞巧奠(きこうでん)」という、織姫に機織りや裁縫の上達を祈る行事が伝わりました。乞巧奠は7月7日に行われていたため、これが日本の棚機と時期が重なり、そして2つが融合し「七夕」になったと考えられています。
七夕も、お寺も、五色の飾り
七夕では五色(ごしき)の短冊が使われるのが慣習となっています。五色とは、「青・赤・黄・ 白・黒(紫)」のことを指し、インド哲学や古代中国の陰陽五行説に基づいた色です。陰陽五行説とは、世の中のすべては「陰・陽」の相反する2面を持ち、「木・火・土・金・水」の5つの要素が基本であるという考え方です。そして五色は厄除けの意味があるとされています。
この五色、お寺さんでも壁などに掛ける五色幕として用いられています。仏教においても陰陽五行説に由来しており、さらには釈迦の教えを広く流布させることを意味しているのだそうです。*宗派によっては捉え方が異なるようです。
日本の五節句
ちなみに七夕は「五節句(ごせっく)」の一つです。
- 人日(じんじつ)/1月7日…七草がゆを食べる日です
- 上巳(じょうし)/3月3日…女児を祝福する日(桃の節句とも言われます)
- 端午(たんご)/5月5日…男児を祝福する日(こどもの日)
- 七夕(しちせき)/7月7日…笹飾りをし、願い事をします
- 重陽(ちょうよう)/9月9日…健康と長寿を願います
これら全部で「五節句」となります。厄除け開運の意味がありながら、日本の一年を楽しくしてくれています。
なお、端午の節句である鯉のぼりの飾りにも先ほどの「五色」が使われています。
しめくくり
いかがでしょう。七夕が出来上がった経緯に仏教が関係しているなんて、なんだかギャップがあって興味をそそります。そしてこれまで以上に七夕が特別なイベントに思えてくるかもしれません。
2020年の今年は新型コロナの影響で七夕まつりが相次いで中止となっているようで、特にお子さんは少々残念ですね。今年は気分を変えて家の中で七夕飾りを作るなど「STAY HOME」な楽しみ方もありですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。
末筆ながら、この度の大雨災害に見舞われておられる方々に、お見舞い申し上げます。
■参考文献
五節句について | 一般社団法人 日本の節句文化を継承する会
■関連記事