こんにちは。
禅僧、良寛和尚(1758-1831)の辞世の句です。
うらを見せ おもてを見せて 散るもみじ
自分自身の表も裏もすべてさらけ出して生き切った。そして今、死に行く…。
そういった意味があると感じます。
良寛(りょうかん)は俳句・書の達人。子供たちに良く好かれ、一緒に遊んだエピソードで知られます。禅の精神を地でいった人物で、生涯にわたって寺を持たず「起きて半畳寝て一畳」の広さがあればいいと、山間の狭い庵に住みました。「本来無一物」とばかりに、一つの鍋で顔や手足を洗い、煮炊きもしたのだそうです。自分自身の質素な生活を通して人々に禅の教えを説いたのだとか。
このストイックな禅僧である良寛和尚は、晩年になんと40歳も年下の尼僧、貞心尼(ていしんに)に恋をしてしまいます。貞心尼とは歌のやりとりや逢瀬を重ね、愛を育んだといいます。この意外なエピソードがとても人間らしく、良寛への親しみが強まります。
この恋愛を含めて「うらをみせ おもてをみせて ~」と読むと、また味わい深い一句となるのです。
以上、禅と親しむ一句としていただけましたら、幸いです。
◇参考書籍
珠玉の日本語・辞世の句|北原照久
今週のお題「575」