こんにちは。本の紹介です。
ジブリファンでもある私は、先日この本に出会い(といっても2018年の初版から2年も経過していて少々不覚なのですが)楽しく読み進めました。
著者の鈴木敏夫さんは、言わずと知れたジブリのプロデューサーです。鈴木さんが3人の禅僧の方々と対談しながら、禅について様々なエピソードを踏まえて語っていくという内容です。
対談された禅僧の方々
私が特に興味を感じた個所をいくつか挙げてみます。
- 鈴木:白隠(禅僧)と一緒で「この世の中、捨てたもんじゃないよ」というのがジブリの基本的な姿勢
- 細川:坐禅は何かを得るというより、何かを捨てる場「坐禅はゴミ捨て場」
- 鈴木:宮さん(宮崎監督)はなんでも忘れる。新しい映画を作るときに「作り方忘れちゃった」というのが口癖。だからいつでも初心に戻れる。
- 細川:禅に「不立文字」というものがある。ジブリも大事な場面では言葉でなく動き、表情で何を伝えようとしている。
- 横田:ゼロ戦を設計した人を描いた「風たちぬ」は本当に良かった。仏教の教えがここに入っている。それは「思うようにいかない」という事。仏教では「苦」という。主人公は空を飛びたいという純粋な思いだけ。一所懸命やっていたのが、結局生み出したのが戦闘機だった。「そんなこと思いもしなかった」「思うようにならない」。
- 鈴木:宮さん(宮崎監督)と僕の一番の共通項は、四十年付き合って過去の話をしたことがないこと。いつも、「今、ここ」なんです。
- 鈴木:「一切をあるがままに受け入れるところに真の自由がある」この言葉を知って、僕は救われた気持ちになった。
- 鈴木:高畑(監督)さんの「ホーホケキョ となりの山田くん」という作品で、ひとつだけ僕が高畑さんに提案したのは、シャンソンの「ケ・セラ・セラ」、これを主題歌にしたらどうかという事。高畑さんは受け入れてくれましたね。あれは「明日のことは分からない」という事だから。
- 玄侑:ビートルズの「レット・イット・ビー(あるがままに)」も禅の影響を受けていますね。
ジブリが意識してきた世界観と禅の世界観とのリンクが面白く、嬉しくも感じます。
また改めてジブリ映画を見直すと、新たな感覚が得られそうです。
本書は禅を少し身近に感じられる一冊になるかもしれません。
ご興味ありましたらお読みいただければと思います。
- 価格: 1760 円
- 楽天で詳細を見る
◇関連記事